特集㉘ 「魂の独立」記念日——世界宗教への飛翔

ライター
青山樹人

「法華経の行者」は誰か

 第1次の宗門事件から10年。池田大作SGI会長の薫陶により、もはや学会員ははるかに日蓮仏法の本質を深く理解し、世界市民としての精神性を養っていた。
 日蓮大聖人は流罪された佐渡で、高らかに宣言している。

法華経の行者あらば必ず三類の怨敵あるべし、三類はすでにあり法華経の行者は誰なるらむ、求めて師とすべし一眼の亀の浮木に値うなるべし

 真実の「法華経の行者」がいるならば、必ず三類の強敵が出現する。そして、今やその三類の強敵は出揃った。わけても最強の強敵が、高位の聖職者の身に入った僭聖増上慢だ。
 では、求めて師とすべき「法華経の行者」とは誰なのか。
 誰が、経文どおりの悪口や弾圧に耐えて法を弘め、全世界に広宣流布してきたのか。
 文字どおり「死身弘法」の実践を貫いてきたのは、創価三代の会長であり、その師とともに戦った創価学会員である。
 国際宗教社会学会会長を務め、池田SGI会長との対談集『社会と宗教』を上梓しているオックスフォード大学名誉教授のブライアン・ウィルソン博士は、初期キリスト教のエルサレム崇拝を例に、「特定の〝聖地〟に行かなければ信仰が全うできないとするのは、世界宗教の要件を欠く」と指摘している。
 大石寺に参詣することで広布破壊の暴挙に出た堕落坊主に供養することは、かえって「謗法与同の罪」を免れない。日顕が登山会を切り札にしようとしたところで、学会員たちの信仰は、微動だにしなかった。

禅寺に墓を建てていた日顕

 1991年8月29日。大石寺で開かれた全国教師指導会では、各末寺から悲痛な声が届けられた。
 多くの末寺住職たちにとって、池田SGI会長の総講頭罷免、創価学会切り崩しは寝耳に水の出来事であった。学会員に理路整然と問いつめられて、まったく返答に窮する住職も続出した。
 なかには、学会と宗門のどちらに正義があるのか悩んで、信仰そのものへの意欲を失ってしまったと住職に告白する信徒もいたという。
 指導会の席上、ある住職が、恐る恐る、そのことを日顕に報告した。すると、日顕は満座の前で顔を真っ赤にし、激しく怒鳴り上げた。

信心がイヤになろうが、何しようが、そんなことは関係ないんだ! 君にとっては! そんなこと、そんなくだらないことを言っておっては、ダメだってことを、頭から少しカマシてやればいいんだっ、そんな者に対しては! そんなことを君がいちいち心配するのは〝他人の疝気を病む〟っていうんだ。そういうの。わかったかい、よぉ!(YouTube「カマシ発言」00:38秒ごろから)

 この日顕の発言は、出席していた僧侶によって録音され、世間に流出した。
 学会員たちは、つい数カ月前まで儀式で厳かに振る舞っていた法主が「カマシてやれ」と怒鳴る声を聞いて唖然とした。
 9月になると、日顕が宗内には極秘で福島県の禅宗の寺院に先祖の墓を建立し、取り巻きを連れてその寺域内で法要をおこなっていたことが発覚した。
 550万円ともいわれるスウェーデン産黒御影石の高価な墓石の表には、日顕の自筆で「南無妙法蓮華経」と刻まれ、裏側には「平成元年七月十七日 為先祖代々菩提」「建立之 日顕 花押」と刻まれていた。

「魂の独立」記念日

 追い詰められてきた日顕は、1991年11月7日、創価学会に「解散勧告書」を送りつけた。
 宗教法人の認証を得る際に、学会は「日蓮正宗の教義を信奉する」旨を表明している。その日蓮正宗に従わないのなら、宗教法人を解散しろというのである。
 全世界の学会員は、〝日蓮正宗の教義を勝手に変えてしまったのは日顕ではないか。学会は一貫して広宣流布に励んでいる〟と一笑に付した。
 11月28日、ついに日顕は、創価学会に対して「破門通告書」を出した。だが16ページにも及ぶ通告文のなかには御書の一片もない。日蓮仏法に照らして、宗門が学会を破門できる理由など何ひとつないのだから当然である。
 日蓮大聖人は「経文に明ならんを用いよ文証無からんをば捨てよ」と、文証なく邪義をかざす者たちを指弾されている。
 同じ頃、全国の創価学会の会館では、記念幹部会が開催された。
 全国1000を超す各地の会館には、この日ばかりは手に手に鳴り物やポンポンを持った会員たちが、笑顔を抑えきれない様子で続々と集った。まるで、ひいきのチームの優勝決定戦にでかけるサポーターのような、文字どおりの嬉々とした顔だった。
 日顕が、どうしても理解できていなかったのは、この庶民の逞しさと賢さなのだ。
 時代錯誤甚だしい〝破門通告〟なるものを受けた直後の記念幹部会は、そのまま「魂の独立記念日」祝賀の幹部会となった。秋谷会長から破門の一件が語られると、どの会場も場内は爆笑と歓声の渦になり、人々は鳴り物を鳴らして喜び合った。
 そして、学会員は明確に法主・日顕こそがすべての謀略を主導した張本人であったことを確認した。
 1カ月後の12月27日――これは、日顕が池田SGI会長を罷免してから1年後にあたっていたが――全世界の創価学会員が「阿部日顕法主退座要求書」に署名して、大石寺に送りつけた。その署名の数は、1624万9638人に達していたのである。

ゴキブリ駆除の塔婆

 不意打ちで池田SGI会長を罷免し、創価学会を解体して、黙って供養を出す信者が20万人だけ手に入ればいいと目論んでいた日顕。だが実際には、宗門の側が信徒の98パーセントを失い、学会出現以前の侘しい姿に戻ることになった。
 信徒の大部分を失った日蓮正宗は、それまでにも増して「塔婆供養」で荒稼ぎをはじめた。寺院に参詣して塔婆を立てなければ、故人も救われないし、自身のさまざまな悩みも解決しないという〝脅迫商法〟である。
 亡くなった者の命日や彼岸、盆に塔婆を勧めるのはもちろん、本数が多いほうが功徳があるなどといって同じ塔婆を何本も売りつけ、寺院に来るたびに塔婆を立てさせる。
 一度使った板塔婆は、専用の削り機で表面を削り、また新品として使う。こうして、日蓮正宗では総本山から末寺に至るまで、5回も10回も削ったペラペラの塔婆が盛んに使い回しされた。
 おまけに、故人だけでは商売にならないのか、「ペットの回忌法要ごとの5本塔婆」「365日の毎日2本塔婆」などを筆頭に、病気平癒祈願の塔婆、商売繁盛の塔婆、合格祈願、水子供養の塔婆、正月の塔婆、日蓮大聖人在世の門下のための塔婆、死んだ芸能人のための塔婆、挙げ句の果てはゴキブリ駆除の塔婆まで登場した。
 日蓮正宗宗務院教学部発行の『日蓮正宗の行事』には、「塔婆供養をすると(中略)未来のできごとを予知できて、事前に悩みや苦しみが除ける、常に仏様のお慈悲をうけることが出来る」などという、オカルトめいた「教学」が記されている。
 むろん、御書のどこを探しても、塔婆の必要性など出てこない。わずかに1例、亡くなった子どものために、当時一般的に武家の間で流行していた形で塔婆を建て、その表に題目を刻んだと報告してきた門下に対し、きっと故人も安穏であろうと励ました書簡があるだけだ。
 彼岸や盆の時期になると、日蓮正宗の出家たちは、寺に墓を持つ学会員に手紙を出したり電話をかけたりして、1人暮らしの高齢者会員を狙い打ちして戸別訪問し、寺院に参詣するよう勧誘しはじめた。
 日蓮大聖人の御遺命である広宣流布を破壊し、差別意識に憑りつかれ、他宗派でも取り組むような社会貢献すら何ひとつしない。今や日蓮正宗は、ただ出家の金儲けのためだけに、徹底して「死」を商売にする宗教なのである。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。