はじめに
東日本大震災から10年が過ぎた。この間の復旧・復興の歩みを振り返るとき、改めて痛感するものに「地域社会における危機管理体制の未熟さ」がある。危機管理において最も重要とされる初動段階で対応に躓(つまず)き、被害を拡散させ、その後の復旧・復興の遅れを招いてしまった被災市町村は少なくない。
〝躓き〟の原因を首長のリーダーシップのみに求めるのは短絡に過ぎよう。問題はむしろ、実際に現場で危機管理に当たった市町村の担当部局職員や地元消防・警察などの力量不足にあったように思われる。学校、企業、病院、自治会などの住民組織も含め、災害の際に最前線で指揮、対応に当たる実戦部隊、つまりは危機管理要員のレベルアップが欠かせない。 続きを読む