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書評『新たな地球文明の詩(うた)を タゴールと世界市民を語る』

ライター
青山樹人

インドを目覚めさせた「詩聖」

 およそ10年後の2020年代後半には世界一の人口に達するインド。近年、ようやく日本はインドとの間の経済交流、また安全保障を含む政治対話に、本格的に乗り出した。
 とはいえ、私たち日本社会はインドという大国をどこまで知っているのか。
 インドを理解し、語るうえでの〝肝〟ともいえる存在が、ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)だろう。 続きを読む

学会と宗門、25年の「勝敗」――〝破門〟が創価学会を世界宗教化させた

ライター
青山樹人

仏教史上に例のない供養

 かつて〝日本最大の隆盛〟を誇りながら、わずかこの25年で、風前の灯火のように衰亡した仏教宗派がある。
 日蓮正宗――。そう言われても、もはやほとんどの人が名前も知らないだろう。
 静岡県富士宮市の大石寺を総本山とするこの宗派は、日蓮の弟子・日興を開祖とし、古くは日蓮宗興門派や富士派を名乗っていた。日蓮正宗と改称したのは、1912年(明治45年)のことである。 続きを読む

カストロが軍服を脱いだ日――米国との国交回復までの20年

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青山樹人

国民から「フィデル」と呼ばれた男

 11月25日、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が没した。
 1959年のキューバ革命によって米国の鼻先で社会主義国家を樹立し、以後、2006年に弟のラウル・カストロ氏に議長職を譲るまで、半世紀以上にわたって最高指導者として国を率いてきた。 続きを読む

詩人・岩崎航の初エッセイ集――書評『日付の大きいカレンダー』

ライター
青山樹人

1万部を超えた詩集

 書店の世界で話題になっている詩集がある。岩崎航の綴った『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)。2013年夏に出版されるや、1世紀超の歴史を有する『三田文学』が創刊以来初の巻頭カラーページで岩崎を紹介し、詩人・谷川俊太郎は岩崎の住む仙台まで駆けつけて彼と共にトークイベントをおこなった。 続きを読む

【コラム】徳島県・旧海部町に学ぶ地域コミュニティの知恵

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青山樹人

自殺率のきわめて低い町

 今年(2015年)1月15日に発表された警察庁の集計(速報値)で、2014年の自殺者数が前年比で7%減の2万5374人となり、1997年以来の低水準になったことがわかった。自殺防止に向けて各自治体も取り組みを進めていることに加え、自殺防止センターなどのNPOが地道な活動を重ねてきた成果の顕れであろう。 続きを読む