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連載エッセー「本の楽園」 第31回 柄谷行人と憲法九条を考える

作家
村上政彦

 もう20年ほどになるだろうか。日本と韓国の作家のシンポジウムが韓国で催された。日本側の団長的な立場を担ったのが、柄谷行人さんだった。僕はこのときに初めて柄谷さんと会った。
 もちろん高名な批評家なのだから知ってはいたし、著作も読んでいた。ただ、生の柄谷さんと接したことはなかった。だから、少しばかり緊張していた。
 親しい編集者から聴いた逸話だが、柄谷さんは結婚していたとき、奥さんと揉めると、俺の頭をこんなことに使わせるのは、世界史の損失だというようなことをいったらしい。そんなテンションで、ものを考える人は、僕の身近にいなかった。 続きを読む

安保法制は、明確に違憲といえない以上は合憲

京都大学大学院教授
大石 眞

安全保障法制の議論における望ましい憲法解釈の作法について京都大学大学院教授の大石眞氏に聞いた。 続きを読む

集団的自衛権と公明党を問う(2) 反対派は賢明な戦略に立て

ライター
青山樹人

「閣議決定」の謎

 7月1日(2014年)の「閣議決定」について、田原総一朗氏はこう述べている。

「公明党が強く反対をしたため、政府・自民党は大きく妥協。さまざまな条件をつけるなどして、当初の案を大幅に変更した。その結果なのだろう。できあがったものは、『個別的自衛権』で十分やれるのではないか、という内容なのだ」(田原総一朗公式ブログ 7月23日付

「解釈改憲だとの批判もあるが、閣議決定を読む限りそれは当たらない」(「平和憲法の基本原則守った 個別法審議でも公明の踏ん張り期待 ジャーナリスト/田原総一朗」公明新聞7月26日付

 今回の閣議決定は、一見すると奇妙である。
 メディアは閣議決定を〝集団的自衛権行使が一部容認された〟と主張し、自民党もそのように言って満足し、反対派も同じ認識で憤り、しかし一方の与党である公明党は〝従来の個別的自衛権の政府見解を何も越えていない〟と言い、田原氏ら多くの識者もそう言い始めている。 続きを読む

民主主義を破壊する解釈改憲は阻止すべき

北海道大学大学院法学研究科准教授
中島岳志

 今行われようとしている、解釈改憲による集団的自衛権容認は、立憲主義、民主主義を崩壊させる暴挙である。

立憲主義の危機

 安倍晋三政権は現在、解釈改憲によって集団的自衛権行使を容認しようとしています。これは大変な問題です。「国民が国家のあり方を規定する」という構造を根本的に崩壊させてしまうからです。 続きを読む