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連載エッセー「本の楽園」 第29回 生きるための詩

作家
村上 政彦

 僕は9歳のときに父を喪った。その後は母と祖母に育てられた。
 母は、酒場で「ママさん」と呼ばれる勤めをしていた。だいたい昼頃まで寝ていて、夕刻に近くの銭湯へ行き、きれいに化粧をして着物を着る。三面鏡の前で、ぽんと帯を叩いて出かけて行く。帰るのは深夜である。

 家族というのは不思議なもので、母と祖母は特に話し合ったわけでもないだろうが、いつか母が「父」になり、祖母が「母」になった。 続きを読む

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仕事・家族・教育の関係を結びなおし 誰もが幸福になれる社会を

東京大学教授
本田由紀

 とどまるところを知らない格差の広がりや、若者の生きづらさの原因はいったいどこにあるのか。教育社会学の視点で社会問題に向き合う本田氏に話を聞いた。 続きを読む

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葦の髄から時評vol.6 裸で歩く男――日本社会から〝精神の柔らかさ〟を奪っているのは誰か

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

異質な他者への共感をどう育むか

 公共の場でも常に裸でいる主義の英国人男性が、英政府に自分の権利を侵害されたと訴えていた裁判で、2014年10月、欧州人権裁判所は訴えを退ける判決を下した。
 AFP通信の記事によると、男性は裸で道路を歩き回るなどして何度も逮捕され、過去7年間を刑務所で過ごしてきたという。 続きを読む

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葦の髄から時評vol.5 「知る」ことの強さ――近隣諸国との未来を開くために必要なものとは

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

マルコ・ポーロが讃えた美しい橋

 北京首都国際空港のタクシー乗り場に並ぶ。私の番が来ると、同年代に思われる運転手が降りてきて、私のスーツケースをトランクに収めた。この国では客が1人の場合、日本のように後部座席ではなく助手席に乗ることになっている。 続きを読む

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2014総選挙――国民は賢明な判断を下したか

ライター
青山樹人

右傾化を拒絶した有権者の判断

 第47回衆議院議員総選挙が終わった。
 翌朝、読売新聞は「自公圧勝325議席」、産経新聞は「自公3分の2超 圧勝」と大見出しを打ち、朝日新聞は「自公大勝 3分の2維持」、毎日新聞だけは「自民微減291議席」と出した。テレビも各局ほぼ同じように「与党圧勝」というトーンで報じたように思われる。 続きを読む