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最善の「選挙結果」のために――カギは「与党内」のパワーバランス

ライター
松田 明

「自民党が圧勝」との予測

 選挙戦もいよいよ最後の週に入った。
 各社の情勢調査でも早くから自民圧勝が報じられてきたが、JNNと毎日新聞が10月13日~15日におこなった最新の電話調査でも、やはり自民党の圧勝予測が伝えられている。

 自民党は小選挙区、比例代表とも堅調で、単独で300議席を超える可能性がある。(毎日新聞WEB版/10月15日)

 小選挙区と合わせると単独過半数は確実な情勢で、安定多数の261議席を大きく上回る可能性も出ています。(TBSNEWS/10月16日)

 解散風が吹き、小池知事が新党を立ち上げたとたんに、自分たちの当選の目がないと見た民進党が、事実上の〝解党〟を宣言。
 国会前のデモに参加していた議員たちまでが、一夜にして「改憲」も「安保」も丸飲みに豹変し、満場一致で希望の党行きを決めたかと思えば、小池知事から〝排除〟された者たちはふたたび「反対!」に衣替えして立憲民主党を結党。
 しかも、どうも雲行きが怪しいとなると、まだ選挙期間中だというのに民進党幹部が「民進党の再結集」を語りはじめ、岡田前代表も「野党勢力の再結集」を語りだした。
 選挙期間中だけ民進党の色を隠して目先の新しい新党から出馬し、とりあえず当選さえすればまた民進党で、あるいはまた名前を変えた新党を作って、再結集したいというのだ。
 野党の有力議員たちが右往左往しているのは、政党交付金を得るためには12月末までに政党の届け出が必要だからで、そこでの自分のポジション取りが大事だからだろう。
過去の数々の選挙戦のなかでも、これほど野党が有権者に不誠実な醜態を示した姿はなかったのではないか。
 有権者の多くが安定した自公連立政権の継続を選択するのは当然だろう。

「与党内野党」の役割

 さて、仮に情勢予測のまま自民党が圧勝する選挙になるのであれば、現実問題として、どのような選挙結果になることが国民にとってもっとも望ましいのか。
 それは、連立政権のパートナーとなる公明党が公示前議席34を割らないこと。できれば前回を上回る票数と議席を得て、連立与党内での存在感を増すことに尽きる。
 つまり、いくら野党がひどい状況で政権交代に至らないからといって、手放しで自民党を追認するのではなく、政権運営をチェックし、自民党のおごりを戒め、極端に走らない中道性と生活者目線での政策実現を、政権にしっかり注文づけることが大切だ。

 政権内部における公明党の役割はますます大きくなっている。閣僚が問題発言を口にしたり不祥事を起こしたとき、私たちジャーナリストが注目するのは「公明党がどういう意見を言うか」という点だ。それほどまでに公明党の存在感は増している。(時事通信社特別解説委員・田崎史郎氏/『潮』11月号)

 政権内部にプレイヤーとして身を置きながら、自民党を中心とした政権運営を日々厳しくチェックする。この難しい仕事は、「与党内野党」公明党にしかできない。(同)

 公明党は、小選挙区では9人しか候補を立てていないので、全国での比例票がどこまで上積みできるかが大きなカギとなる。

公約を実現したかどうか

 選挙になると、どの党も有権者の歓心を買いそうな政策や公約を並べる。
 口にするのは簡単だが、大切なことは、そもそも実現性があるのかどうか。そして、その党が前回の選挙での公約をどの程度まで実現できてきたかである。
 財源のないバラ色の政策や、他党の合意を得て多数の賛成を形成できないような独善的なマニフェストでは、単に〝夢〟を語っているに等しい。
 そして与野党問わず、過去の公約を実現できていないような政党ならば、選挙の時だけどんな美辞麗句を並べてもアテにはできない。
 たとえば民主党(当時)や日本共産党が前回2014年の衆院選で掲げた公約を見ると、3年経っても何一つ実現できていないことが一目瞭然だ。(2014年12月1日/日経新聞「衆院選、各党の選挙公約を比較」

 彼らは政権批判に明け暮れただけで、自分たちが口にしたことを何も実現していない。
 一方で、公明党は自民党の1割ほどの勢力ながら、消費税10%になる際の「軽減税率の導入」を法案に書かせたほか、2016年参院選の公約で掲げた「無年金者対策の推進」も実現。本年8月から改正年金機能強化法が施行され、公的年金の受給資格期間が25年から10年に短縮。新たに64万人が受給対象になった。
 今回の総選挙では「教育負担の軽減」を具体的に公約に掲げている。

「分かってる感」出ている

 内閣府「子ども・子育て会議」委員であり、認定NPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さんは、自身のサイトで『2017衆院選「子ども子育て」公約比較』と題して今回の各党の公約を検証。
 その中でも公明党の公約に高い評価を出した。

 さすが福祉政党。「今福祉で弱いところ」をしっかりと認識している、つまりは「分かってる感」が出ています。

 公明党の議員さんは、一番現場に足を運んでいる印象があり、そういう「現場に身を置く」ことが、政策から「そこじゃない感」を払拭し、「分かってる感」につながっていくのでしょう。

 一方、たとえば日本共産党の公約には、

 共産党は、分量が多すぎて政策を書ききれないくらいでした。その情報量と情熱には感服です。
 政策については相変わらず、「実現性はないけれど、そうなったら良いね」という、永遠に近づけない北極星を示す役割に徹しています。

と、あれもこれも盛った公約が何一つ「実現性がない」ことを指摘している。
 選挙=投票行動は、民主主義の大事な根幹だ。
 棄権するのでもなく、気分で適当に決めるのでもなく、自分の投じる1票が、どうすれば現実の日本政治を少しでも前に進める力に変わるのか、賢明に判断したい。

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