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背信と矛盾の「希望の党」――小池氏は都政に専念すべき

ライター
松田 明

都政専念を明言していた知事

 東京都議選の投開票日の翌日である7月3日、小池都知事はいきなり「都民ファーストの会」の代表を退任すると発表した。
 直後の7日の知事定例会見で、代表退任の意図を問われた小池知事は、「知事に専念するためだ」と答えた。

 私はむしろ知事に専念する形で進めた方が、都民の皆様方の都民ファーストに求められたさまざまな公約であるとか、政策を実現するということにつながりやすいのではないかと考えたわけであります。(東京都HP「知事の部屋」記者会見 平成29年7月7日

 さらに、ちょうど1ヵ月後の8月7日、知事に近い若狭勝衆議院議員が国政を念頭に「日本ファーストの会」の設立を発表した時点でも、小池知事は、

 国政は若狭に任せている。(8月7日 朝日新聞デジタル

と、自身は国政に関与せず都政に専念することを重ねて表明している。
 ところが、9月半ばになって国会に解散風が吹き始めたとたん、小池知事は若狭氏や民進党を離党した細野氏らが進めていた国政の新党結成に割って入り、「希望の党」と命名して自らが代表に就任することを宣言したのだ。

東京都民への重大な背信

 東京都の人口は1400万人に迫り、予算規模だけでも13兆円(2017年度)。これは、スウェーデン(約12兆円)やギリシャ(約11億円)の国家予算を超える。
 その予算執行権者が都知事であり、しかも豊洲市場の移転問題も決着がついておらず、東京オリンピック・パラリンピックの開催まで3年を切っている。
 こうした重責を担う都知事が、前言をひるがえして、いきなり国政進出をめざす政党の代表に就任したのだ。
 この都民への背信ともいえる自語相違の〝暴挙〟に、都民ファーストの会と政策協定まで結んで都政改革をめざし都議選を戦ってきた公明党からは、当然ながら厳しい批判が出た。

 都知事の職責は重い。国政レベルの政党の代表職と、二足のわらじが務まるほど生易しいものではない。(山口那津男代表/9月26日 共同通信47ニュース

 東京都議会議員選挙の時には、小池知事が都政改革に全力を挙げるという前提のもとで、われわれは協力していくということだったが、今回、その前提が崩れたと認識している。(斎藤鉄夫選対委員長/9月27日 NHKニュース

矛盾だらけの「寄せ集め政党」

 9月28日午後、衆議院は解散し、各党は総選挙モードに突入した。
 小池知事は「希望の党」の設立会見で、政党の理念を「日本の心を守っていく保守」と表明した。
 会見では「日本をリセットする」「しがらみのない政治」「改革する保守」という言葉が飛び出たが、具体的にどのような政策にするのか、まだ何も見えてこない。
 しかも、自民党よりもさらに右寄りの〝極右政党〟ともいえる「日本のこころ」代表だった中山恭子参院議員が、自分が代表を務める政党を離党して「希望の党」への参加を表明したかと思えば、これまで平和安全法制を「戦争法案」と叫んでいた民進党の議員も、今回は民進党から得た政党交付金を原資に「希望の党」から立候補する。
 小池氏は入党にあたっての〝踏み絵〟として「安全保障政策」「憲法改正」を挙げているが、きのうまで「戦争法案!」と絶叫していた民進党議員は、どんな言い訳をして「希望の党」から立候補するのだろうか。
 小池氏が語る「原発ゼロ」についても、過去に

 軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる。(『Voice』2003年3月号)

とまで発言してきた小池氏の「核容認」姿勢との矛盾が、早くも指摘されている。小池氏は自身のサイトに載せていたこの記事を素早く削除した。

政治を玩具にするな

 2012年末に自公連立政権が発足して以来、株価や雇用はハッキリと数字に表れて大きく改善され、旧民主党政権が壊した日中関係も修復されてきた。
 一方、北朝鮮情勢は緊迫の度合いを深めており、国内では東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨などからの復興という課題がある。
 10月3日時点で小池氏は、単独過半数を狙える数の候補者を擁立すると語っている。
 はてさて、自分が知事の座を投げ出して総理になることが最終目的なのか、うまく分断させた野党勢力をいずれ自民党に売ろうとしているのか。
 党内では、早くも若狭氏や細野氏が主導権争いを見せ始めている。どんな選挙結果になっても、「希望の党」内で深刻な権力闘争と対立が始まるだろう。
 たしかに都知事選挙で圧勝し、7月の都議選でも新党を成功させた小池知事だが、国政でも簡単に2匹目、3匹目のドジョウが狙えて、万事思い通りになると考えているのであれば、そんな驕りは捨てていただきたい。
 政治は政治家のオモチャではない。小池知事は、都民と国民に約束したとおり、誠実に都政に専心すべきである。

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