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日本共産党と北朝鮮の〝黒歴史〟――「北朝鮮にリアルの危険ない」の背景

ライター
松田 明

サミット首脳宣言に明記

 5月26日、27日とイタリアで開かれた「G7タオルミーナ・サミット」では、初日の午後からのセッションで北朝鮮問題が協議され、閉幕にあたっての首脳宣言でも、

 北朝鮮は国際的課題の最優先事項であり、国際の平和と安定に対する重大な性質を有する新たな段階の脅威。(外務省HP)

と明記された。
 現下の北朝鮮情勢がはらむ危機の深刻さは、日米のみならず、G7サミットが「国際的課題の最優先事項」「重大な性質を有する新たな段階の脅威」と宣言する状態にある。
 そして、これを黙殺するかのように、北朝鮮は28日午後には新型の対空迎撃ミサイルの発射実験映像を公開。さらに29日早朝にも弾道ミサイルを発射し、隠岐諸島から300キロしか離れていない日本の排他的経済水域内の日本海に落下させた。
 北朝鮮の国営メディアは、精密誘導装置によって誤差7メートルの範囲内に命中させることに成功したと発表している。
 この北朝鮮に対し、日本共産党の志位委員長が「リアルの危険がない」とテレビで放言していた問題は以前(前掲コラム)に指摘したところだ。

 北朝鮮、中国にリアルの危険があるのではなく、実際の危険は中東・アフリカにまで自衛隊が出て行き一緒に戦争をやることだ。(日本共産党の志位委員長の発言:「産経ニュース」2015年11月7日

世論のミスリードを図る

 当時すでに北朝鮮がミサイル発射を繰り返していた時期に、なぜ志位氏は人々の目を北朝鮮ではなく「中東・アフリカで自衛隊がやる戦争」などという荒唐無稽なストーリーに向けさせたかったのか。
 平和安全法制を「戦争法」とネーミングして国民の不安を煽っていた彼らは、法案が成立したあとも人々の不安をさらに広げ、16年参院選での「野党共闘」を共産党が主導できるよう、世論のミスリードを図ったわけである。
 しかし、平和安全法制が施行されたことで、むしろ実際には自衛隊の活動に明確な縛りがかけられた。G7サミットが閉幕した同じ27日、南スーダンに派遣されて国連のPKO(平和維持活動)に従事していた陸上自衛隊も撤収を完了した。
 ちなみに、そもそも陸自を南スーダンに派遣したのは民主党政権である(※関連記事:「産経ニュース」2017年2月19日)。
 2年近く経ってみて、あらためて日本共産党という政党のやり口――不安を煽り立てて自分たちの党勢拡大を図る――の悪質さとデタラメさが際立つばかりだ。
 だが、志位氏が北朝鮮の危機から国民の目をそらさせる発言をしたのには、もう一つの背景がある。それは、日本共産党と北朝鮮の深い関係なのだ。

制裁に反対し続けた共産党

 これまでも北朝鮮に核開発の放棄や拉致被害者の解放を促すため、国際社会は経済制裁などを続けてきた。
 奇妙なことに、日本にあってその制裁に反対し続けてきたのが日本共産党なのである。
 北朝鮮が日本人の拉致を認め5人の拉致被害生存者が帰国したあと、さらなる家族の解放などを促すために、2004年、日本独自の制裁として北朝鮮への経済制裁2法を国会採決した。これに反対した政党は日本共産党のみだった。
 07年、08年、この制裁の延長を閣議決定する際も、共産党は反対を表明している。
 09年4月のミサイル発射に抗議する国会決議にも、

 根拠なく「ミサイル発射」と断定すべきでない(『しんぶん赤旗』2009年4月8日)

と強弁して、共産党だけは反対した。

 なぜ共産党はこれほど北朝鮮を庇(かば)い立てしてきたのか。
 じつは戦後の1959年から始まった、在日朝鮮人を北朝鮮へ帰還させる〝帰国事業〟を実働部隊として支えたのが日本共産党だった。
 かつて日本共産党員として「新潟県帰国協力会事務局長」「日朝協会新潟県連事務局長」を務め、この〝帰国事業〟を最前線で支えてきた小島晴則氏が、『北朝鮮帰国事業に熱心だった日本共産党の罪』と題し、最新の月刊誌に怒りの告発をしている。

 新潟県帰国協力会・日朝協会の事務局員は四人全員が共産党員でした。(『第三文明』2017年7月号

 帰国事業は自民党や社会党などの超党派で帰国協力会を推進母体として組織し、多くのマスコミも応援して実施されたものですが、その手足となって支えたのは日本共産党の党員です。
 当時、日本共産党は北朝鮮の朝鮮労働党と名実ともに「兄弟党」の関係にありました。(同)

「拉致の証拠もないのに」

 だが、やがて北朝鮮に帰国した人々からの悲痛な手紙を通し、「地上の楽園」と宣伝されていた帰国事業がいかにウソにまみれたものだったかに気づいた小島氏は、68年に共産党を離党。
 自責の念にさいなまれ、せめてもの罪滅ぼしにと「横田めぐみさん等被拉致日本人救出新潟の会」会長を務めてきた。
 すると90年代、あくまで北朝鮮を擁護する共産党は、新潟市議会の委員会で小島さんに対し

 拉致の証拠もないのに、北朝鮮が憎いので「拉致救出」をやっているのだろう。(『第三文明』2017年7月号

などと非難を浴びせた。

 ところが、五人の拉致被害者が帰国すると、「わが党は拉致問題に取り組んできた」などと街頭演説している姿を見て、この党はつくづく信用できないと感じました。(同)

 拉致が明らかになったあとも、北朝鮮への経済制裁に唯一反対し続けてきた日本共産党は、09年5月に北朝鮮が2度目の核実験をすると、なぜか一転して経済制裁に賛成する態度に豹変した。
 不都合な過去にフタをしたまま、今日では、

 北朝鮮の行動は、世界の平和と安定にとっての重大な脅威。(5月22日ミサイル発射への志位委員長談話)

 経済制裁の全面実施・強化と一体に、北朝鮮との外交交渉に踏み切り、そのなかで核・ミサイル開発をとめ、その放棄を迫ることが急務である。(同)

などと、しゃあしゃあと述べている。

 帰国事業の片棒を担ぎ、在日朝鮮人を「地上の楽園」ならぬ地獄のどん底に叩き込んだ役割を、朝鮮総連とともに、日本共産党が大きく果たしたのです。(『第三文明』2017年7月号

と小島氏。

 共産党は今になっても、その結果責任を認めようとはしていません。非常に無責任な姿だと感じます。(同)

 86歳になった小島氏は本年1月、自身が撮り続けてきた記録をまとめた『写真で綴る北朝鮮帰国事業の記録 帰国者九万三千余名 最後の別れ』(高木書房)を上梓している。

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