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「野党共闘」に暗雲――共産党の凋落と統一候補の大敗北

ライター
松田 明

自民党の0勝2敗

 4月におこなわれた第19回統一地方選挙と2つの衆議院補欠選挙。
 メディアの耳目は主に2つの補選(大阪12区と沖縄3区)でいずれも自民党の擁立した候補が敗れたことに集まった。
 2012年以来、自民党の候補が国政選挙の補選で敗れたことがなかっただけに、自民党にとって0勝2敗は手痛い結果に違いない。
 ただ、大阪は維新が知事と市長のダブル選で圧勝した勢いがあり、沖縄は玉城デニー知事の失職に伴う選挙だった。

 自民党が不利な事情を抱えた両補選の結果は、必ずしも参院選の帰すうに直結しまい。とはいえ、閣僚や副大臣の失言による辞任に対して、有権者が厳しい視線を向けているのは確かだ。(『読売新聞』4月22日「社説」

 選挙区特有の事情があったことは事実。しかし自民党は〝傲り〟〝弛み〟を排して、政権運営にあたらないと、夏の参議院選挙で厳しい局面を迎えかねない。

惨敗した「野党統一候補」

 一方で、自民2敗の陰に隠れて、あまり大きく報じられなかったが、野党も手放しで喜んでいられない深刻な結果となっている。
 大阪12区の補選では、立憲民主党も国民民主党も独自候補を擁立することが出来なかった。
 そこに目をつけた日本共産党は、同党の宮本岳志衆院議員(比例近畿ブロック)を野党統一候補とすべく、衆議院議員から辞職させてまで無所属で立候補させた。

 こうした判断をした最大の理由は――これは宮本さんも同じ思いだと思いますが、大阪12区でも市民と野党の共闘を成功させ、「安倍政権に退場」の審判を下すためです。党公認とせずに無所属としたのも、広範な市民、議員、政党に、支援をしていただき、協力・連携・共闘を成功させるうえで、適切と考えたからです。(志位和夫委員長/『しんぶん赤旗』4月1日

 志位委員長は参議院選挙の「野党共闘」の試金石とすべく、党の総力を挙げて戦うとアジテーションを飛ばした。
 ところが、選挙結果は惨憺たるものだった。

藤田文武(維新)   60341票
北川晋平(自民)   47025票
たるとこ伸二(無所属)35358票
宮本たけし(無所属) 14027票

前回の6割に落ち込む

 日本共産党が同党史上初めて、現職の衆議院議員を辞職させてまで擁立した「野党統一候補」だったが、なんと2017年の衆議院選挙で共産党候補が大阪12区で獲得した22858票の6割という票数。
 立憲民主や国民民主が自主投票に回ったのも、共産党と組むことへの忌避反応が地元にあったからだろう。
 日本共産党中央委員会常任幹部会はいつものごとく、これほどの大敗をしても執行部の責任を問うどころか、まるで勝ち戦のような開き直りのコメントを出している。

 このたたかいは市民と野党の共闘の今後の発展にとって大きな財産をつくりました。自由党、立憲民主党、国民民主党の代表をはじめ、6野党・会派から49人もの国会議員や元議員が応援に入り、大阪と全国から1千人を超えるボランティアのみなさんが肩をならべてたたかいました。(『しんぶん赤旗』4月23日

 野党各党の代表や49人もの議員が応援に入りながら大敗北したことを強調して、共産党執行部の責任をごまかそうという意図が見え見えだ。
 だが、共産党が1年半前に獲った票を4割も減らしていることを、どう言い訳するつもりか。

統一地方選でも落選が続出

 共産党の失速は、統一地方選挙でも明確にあらわれた。
 同党は全都道府県議会で議席を持っていたのに、今回は愛知県議会ですべての議席を失った。全体でも改選前の111議席から99議席へと衰退した。
 一般市議選でも713候補のうち98人が落選。
 東京特別区議選でも131候補のうち28人が落選。江東区では8人のうち5人までが落選し、新宿区でも9人中3人が落選した。
 あのマック赤坂氏が当選したことで話題になった港区でも、共産党の議員団幹事長がマック氏にさえ何位も水をあけられて落選。

 前回比では、東京区議選で21議席、一般市議で55議席、町村議選で14議席の後退、議席占有率では、東京区議で15・80%から13・12%へ、一般市議で9・79%から9・15%へ、町村議では6・86%から6・65%への後退となりました。(『しんぶん赤旗』4月23日

 日本共産党自身も、機関紙で退潮ぶりを認めて引き締めに躍起になっている。
 この政党は、役所や他党と合意形成をしながら地道に政策実現するということが出来ない。これは、国政でも地方政治でも同じ。
 なぜならそもそも、彼らは政策を実現することに関心があるのではなく、イデオロギー革命を綱領に掲げ、党勢拡大が目的化してしまっている。
 だから、できないことを承知でも、人々の耳目を引く言葉を並べる。地方議会の選挙にもかかわらず、各地で「消費税反対」などと訴えていたのは分かりやすい例だ。

7回連続「第1党」の公明党

 地域に根差した選挙であればあるほど、有権者はよく見ている。
 共産党とは対照的に、一般市議選、東京区議選、町村議選で、公明党は立候補した1222人の全員が当選を果たした。
 このうち、286市で行われた一般市議選では901人が当選。
 政党別の当選者数としては自民党の698人を大きく上回り、1995年以来7回連続して「第1党」となった。
 901人中301人は女性候補で、一般市議会議員における女性議員数でも3年連続「第1党」となった。
201904to また、4月7日に投票が行われた前半の41道府県議選と17政令市議選でも、道府県議選では167人が全員当選。政令市議選では173人中171人が当選。2人がそれぞれ4票差、6票差で惜敗したものの、党派別の当選者としてはいずれも自民党に次ぐ「第2党」となった。(参考:「公明ニュース」4月24日
 公明党は、国会議員、地方議員、計約3000人が上下ではなく水平にネットワークを構築している唯一の政党だ。
 その「小さな声を聴く力」と、それを政策に実現していく能力について、年々に信頼が高まっている。
 立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党、自由党は、4月22日に「安保法廃止法案」を参議院に共同提出するというパフォーマンスをおこなった。
 本気で安倍政権に代わる新しい政権選択を国民に迫る気があるのなら、まず野党間での足の蹴り合いや罵り合いをそろそろやめることだ。
 コップの中の権力闘争に明け暮れ、党内ですら合意形成ができないという稚拙な状況を脱すること。どのような政党の枠組みで、どのような政策を掲げた政権をめざすのか、しっかりと国民に示すべきであろう。
 安倍政権を批判することだけで命脈を保っているというのでは、あまりにも情けない。

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