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「シロアリ」に崩された民進党――日本共産党の革命戦略を甘く見た代償

ライター
松田 明

「共産党はシロアリ」

 民進党の前原誠司代表は、同党がまだ民主党だった2015年秋に出演した読売テレビの番組で日本共産党との選挙協力について問われ、このように否定的見解を語った。

 共産党とはまったく違う。私は京都なので、非常に共産党が強いところで戦ってきた。共産党の本質はよく分かっているつもりだ。シロアリみたいなものだ。ここと協力をしたら土台が崩れる。(産経新聞2015年11月14日

 だが、その後の民主党そして民進党の執行部は、日本共産党の「野党共闘」という甘い言葉に乗せられ、同党との選挙協力を続けてしまった。
 それから2年足らず。皮肉にも前原氏が代表になった今、民進党は前原氏が〝予言〟したとおり、あまりにあっけなく崩壊しようとしている。
 この前原氏が語った「共産党の本質」とは何なのか。
 冷戦終結から四半世紀以上が過ぎ、多くの人が日本共産党の生んだ悲劇の数々を忘れ去り、あるいは知らないでいるのだろう。
 それをいいことに、日本共産党の側は厚顔にも、あたかも民主主義や憲法を遵守し、清廉潔白な弱者の味方で、権力に正面から立ち向かう唯一の正義の政党であるかのように演出するソフト路線をとっている。

テロリストの温床となった政党

 この日本共産党の本質と戦略について、かつて検察官として多くの過激派集団の事件を扱ってきた田代則春氏が、最新の月刊誌であらためて警鐘を鳴らしている。
 今、テロと言えばISに代表されるイスラム過激派を思い浮かべるだろうが、1970年代、世界を恐怖に陥れていたのは日本の共産主義過激派組織だった。
 主要な事件だけでも、70年のよど号ハイジャック事件(共産主義者同盟赤軍派)、72年にイスラエルの空港で死者24人、重軽傷者76人というテロを実行したテルアビブ空港銃乱射事件(日本赤軍)、74年にオランダのフランス大使館を占拠したハーグ事件(同)、75年にマレーシアにある米国とスウェーデンの大使館を占拠したクアラルンプール事件(同)、77年にパリ発の日航機をハイジャックしたダッカ事件(同)などがある。
 日本赤軍は共産主義者同盟赤軍派から派生したグループで、やはりマルクス・レーニン主義にもとづく日本革命と世界の共産主義化を目的としていた。
 田代氏は言う。

 過激派集団がどのような背景と原因で発生するに至ったのかを知るためには、その元となった日本共産党の理論と行動を知ることが不可欠です。(『第三文明』2017年11月号

 こうした視点から『警察公論』に連載され、1985年に上梓された田代氏の『日本共産党の変遷と過激派集団の理論と実践』(立花書房)は、この分野の研究書として関係者に広く読まれてきた。

 今や過激派集団の活動は下火になっています。それでも、彼らの派生の元である日本共産党はどうかとみれば、表面上はソフトになりましたが、その戦略的な本質は変化したとは思えません。(同)

今も綱領にある「革命路線」

 では、田代氏の言う「戦略的な本質」とは何なのか。

 日本共産党の主義主張は、戦前・戦後を通じて、プロレタリアート(労働者階級)革命です。(『第三文明』2017年11月号

 彼らの戦略は、第一段階として議会で多数派を形成し、その後、プロレタリアートを団結させ、必要であれば非合法手段を用いて権力奪取を行う方法で社会主義革命を達成するという〝二段階革命論〟です。(同)

 いつの時代の話をしているのかと笑う読者は、念のために2004年に改訂された最新の日本共産党綱を自分の目で読んでみればいい。
 そこには今もはっきりと、「社会主義・共産主義の社会」へと日本の体制を変える二段階革命論や統一戦線戦術が記されている。
 マルクス・レーニン主義に基づく社会主義・共産主義国家を本気でめざすからこそ、彼らは今も「共産党」という党名を掲げているのだ。

 民主主義・議会主義に徹し、革命を捨てたかのような振る舞いは、戦術的に行われているものにすぎません。
 現在の日本は豊かになりました。しかし、万が一にも日本が再び貧しくなれば、庶民の暮らしが厳しくなった時に革命の機運が高まるでしょう。それに日本共産党は備えている(同)

野党共闘は「統一戦線戦術」

 以前にも書いたが、2004年9月に警察庁が刊行しネット公開もされている『焦点269号 警備警察50年』には、「暴力革命の方針を堅持する日本共産党」と題する項目が設けられ、綱領改定後の今も共産党が暴力革命路線を捨てきっていないという見解を示している。
 ちなみに、2015年以来、日本共産党が熱心に主導してきた「野党共闘」「国民連合政府」路線とは、同党の綱領に書かれてある、

 日本共産党と統一戦線の勢力が、国民多数の支持を得て、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができる。(日本共産党綱第4章「民主主義革命と民主連合政府」)

を、そのまま実行したものだ。
 何も知らない若い世代を騙そうと、ケロッとした顔で「憲法を守る共産党」などと訴えているが、日本国憲法についても制定時に唯一反対し、将来の改憲を宣言し、2004年になってようやく憲法の全体を(とりあえず)容認したような政党なのだ。
 本音の目的を隠し、国民の不安と憎悪を煽り、支持率の伸びない野党勢力に甘言を弄して結果的に自分たちの影響力と議席の拡大を図る。
 実際、先の東京都議選でも共産党の術中にはまった民進党は見る影もなくなり、共産党は大きく議席を伸ばした。
 さて、急ごしらえの「希望の党」が総選挙の台風の目になった。
 小池氏に〝獲物〟を横取りされた日本共産党は、これまで以上に厚顔に〝リベラルの代表〟のように振る舞うだろう。
 だが、恐ろしい暴力性を内に隠した「革命政党」という日本共産党の素顔を甘く考えてはならない。

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