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周回遅れの野党第1党――「民進党大会」から見えてきたもの(上)

ライター
松田 明

支持率が伸び悩む民進党

 民進党の初の定期党大会が3月12日、都内で開かれた。
 かつて一度は多くの国民の希望を託されたはずの民主党政権が、内輪の権力抗争に明け暮れ、尖閣問題や東日本大震災に象徴される政治手腕の未熟さを露呈して、わずか3年余で終焉したのが2012年の暮れ。
 以後、海江田、岡田の両代表とも、ただただ安倍政権への対決姿勢を先鋭化させただけで、支持率が一向に伸びないまま、2016年3月に「民進党」へと看板を掛け替えた。
 グラビアアイドルやキャスターだった蓮舫氏を党代表にすることでイメージを一新し、党勢回復を図ろうとしたのだが、蓮舫民進党もやっぱり支持率が伸びず、選挙にも勝てない。
 党大会で挨拶に立った蓮舫代表は、次のように述べた。

 国のあり方を、政策を、国民が選択する2大政党制は未完成です。時代の転換期にあり、将来が見通せない中で、一方的に「この道しかない」とひとりよがりの未来を押しつけられることに、多くの人たちが不安を抱いています。
 だからこそ私たちは、国民の選択肢になる。選ぶことのできる政治を実現する、選ぶことのできる政策をしっかりと示し、国民がこの国の未来を選択できる政治を実現するのは民進党だと、今日、みなさんとともに確認をさせてください。(民進党HP「【定期党大会】蓮舫代表あいさつ」より)

「連立政権」が世界の潮流

 まず2つの疑問がある。自民党の一党支配が崩れた90年代、たしかに日本でも二大政党制をという合唱はマスメディアに溢れた。しかし、その夢を賭けたはずの新進党は小沢一郎氏が党首になるや、次々に身内が離反して崩壊した。
 なにより、冷戦以後の90年代は、もはや2つの価値観の対立から多様な価値観の共存へと世界が転換しており、ヨーロッパ各国でも連立政権の時代が始まっていたのだ。日本でも93年以降、ずっと連立政権が続いている。それは自公政権の成功が象徴するように、そのほうがより幅広く多様な国民の声にこたえる成熟した政治が可能だからだ。
 ところが、蓮舫氏はいまだに「二大政党制」をめざすと訴えている。その方向性自体が何周も周回遅れであり、もはや国民が現実的な希望を託していないことに気づいていないのだろうか。
 そして、〈選ぶことのできる政策をしっかりと示し〉と言うが、エキセントリックな批判ばかりで現実的な政策を示すことがさっぱりできていないところに、今の民進党の低迷があることを、この人はどこまで自覚できているのだろうかと思う。

理念も政策も不透明

 さらに、民進党に有権者が期待できなくなっている大きな理由は、この党がいかなる理念を掲げて、いかなる政権像、国家像をめざしているのか、皆目わからないことにある。
 片方で、〝国民連合政府〟構想を掲げる共産党との「野党共闘」で安倍政権を打倒すると訴え、しかし片方では「共産党との連立はあり得ない」と共産党への拒絶をアピールする。事実、民進党と共産党では国家観も理念もあまりに違いすぎる。
 そもそもが理念よりも、小選挙区制度で選挙に勝つためにやむを得ずの〝選挙互助会〟的色彩が強かった旧民主党である。党内には自民党よりさらに右寄りな改憲主義者もいれば、学生運動の夢から覚めないような左派もいる。
 昨年の年金制度改革をめぐる国会審議でも、「年金カット法案」「強行採決」とあれほど大騒ぎをしながら、本会議の採決になると賛否を明らかにせず議場から退席した。党内に賛成派がいることを国民に見せたくなかったからだ。

 国民の皆様に今の政権と違った未来を、夢と可能性に思いを馳せることのできる未来を提示していきたい、皆さんと一緒にそれを現実のものにしていきたいからです。
 そのために党の理念、政策を明確に掲げ、全国で国民の理解を一層求めていかなければなりません。(同)

 民進党の理念や政策が明確でなく、今の自公政権と違った未来を実際に描けるビジョンも持ち合わせず、多くの国民から夢も可能性も感じられていないことを、蓮舫代表自身が党大会で吐露したに等しい。
 もちろん、道理から言えば野党第1党には、いつでも政権を担えるだけの理念と現実的な政策、そして国政でも外交でも成熟した合意形成能力が求められる。それを放り投げて〝断固反対こそ野党の仕事〟と突っ走るのは自由だが、国民の期待はますます遠ざかるばかりではないのかと思う。

「『民進党大会』から見えてきたもの」シリーズ:
迷走する蓮舫民進党の〝脱原発〟――「民進党大会」から見えてきたもの(下)

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