参院選直前チェック⑤ 数字で見る「アベノミクス」

ライター
松田 明

民主党政権の「失われた3年」

 政治の力量は、そのまま国民の暮らしに直結する。
 2009年夏の総選挙で当時の民主党は308議席を獲得した。だが、予算の見通しもないまま掲げた政策のために国債を過去最大規模で発行。国の借金はたちまちピークに達した(財務省HP「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」)
 事業仕分けと称して科学技術振興予算は次々と削減され、尖閣漁船衝突事故で対応をしくじり、尖閣国有化を発表して、中国全土で史上空前の反日デモが吹き荒れた。
 経済政策も失敗し、1ドル75円台という極端な円高を引き起こして、日経平均株価は8000円台という低迷を続けた。
 東日本大震災では復興庁の設置にさえ半年以上かかり、復興のための補正予算にも8ヵ月かかって、「遅い、鈍い、心がない」と批判された。
 結局、「一度やらせてみよう」という有権者の期待は「失われた3年」という失望に転じ、2012年12月、国民はふたたび自民・公明の連立政権を選んだ。
 安倍政権は「アベノミクス」を掲げて、日本の再建に取り組んできた。

数字を見れば一目瞭然

 このたびの参院選で、民主党から看板を掛け替えた民進党や、民進党が頼みとする共産党などは、消費増税が延期されたことをもって「アベノミクスの失敗」を叫んでいる。
 では、自公政権の3年余で、日本はどう変わったのか。データに基づいて、おおむね2012年と2015年を比較したそれぞれの数字を見ておこう。

【名目GDP】2008年4-6月期以来の500兆円超え
【実質GDP】マイナス成長から反転し約12兆円増
【名目GNI】リーマンショックで失った約50兆円を2016年には取り戻す見込み
【物価動向】15年以上続いたデフレを脱却
【就業者数】6281万人→6391万人(110万人増加)
【失業者数】270万人→217万人(53万人減少)
【有効求人倍率】0.82→1.25(47都道府県すべてで1を超えた)
【大卒就職率】93.9%→97.5%(7年ぶりの高水準)
【高卒就職率】95.8%→97.7%(24年ぶりの高水準)
【株価】8600円→15600円(ほぼ2倍)
【中小企業の資金繰り判断】▲5→6(11ポイント改善)
【税収】78.7兆円→99.5兆円(約21兆円増
  ※消費税率引き上げ分を除いても約13兆円の増収
【国債発行】44兆円→34兆円(10兆円減)
【保育受け入れ】240.9万人→262.7万人(22万人拡大)

(データの出典)
①内閣府「アベノミクスの3年間の成果」
②文部科学省「平成28年度3月高等学校卒業者の就職状況」

 党首討論で自公党首からこうした数字を突きつけられた民進党の岡田代表は「数字ではなく国民の実感だ」などと弁明したが、政権の能力の差、政治の成果は歴然と数字に表れているのではないか。

 アベノミクスによって、国と地方の税収は大きく増えた。その成果を活用し、社会保障の充実、保育や介護の基盤整備、若者・女性の活躍に向けた取り組みを加速する。(公明党・山口代表/6月21日の党首討論会)

 今回の参院選は、このアベノミクスの継続を信任するか否かの選挙となる。

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