参院選直前チェック④ 平和安全法制は「戦争法」なの?

ライター
松田 明

国民の不安を煽る野党

 平和安全法制について、民進党、共産党、社民党、生活の党などは、「戦争法」「戦争をする国になる」「自衛隊員が殺し殺される」といった宣伝をし、国民の不安や憎悪を煽ることで参院選での議席獲得をめざしている。
 またこの野党4党を支援するSEALDsのサイトは、安倍政権の安全保障政策について、

 しかし、たとえば中国は政治体制こそ日本と大きく異なるものの、重要な経済的パートナーであり、いたずらに緊張関係を煽るべきではありません。

と、中国との緊張関係を高めるものであるかのように書いている。
 もし彼らが言うように平和安全法制が「戦争法」であり、安倍政権が日本を「戦争をする国」に変えているとしたら、それは国際社会、とりわけアジアの国々にとっては黙って見過ごせない大問題だろう。
 だが、実際に世界はどのように反応しただろうか。

2015年
 9月19日 平和安全法制が国会で成立
10月 8日 公明党・山口代表が訪韓
       朴槿惠大統領と会談
10月15日 公明党・山口代表が訪中
       習近平国家主席と会見
11月 1日 ソウルで3年半ぶりに
       日中韓3か国首脳会談が実現


2016年
 3月29日 平和安全法制の施行
 5月 6日 安倍首相とプーチン大統領が
       首脳会談
 5月26日~伊勢志摩サミット開催
 5月27日 オバマ大統領が
       現職米国大統領として
       初めて広島を訪問

画期的なほど〝平和〟の方向に

 注目すべきは、平和安全法制が成立した直後に、韓国と中国の国家元首が連立与党の党首である山口代表を迎え、安倍首相からの親書を受け取り、民主党政権時代から長らく開催できていなかった日中韓3か国首脳会談まで実現させていることだ。
 中韓の国家元首が日本の首相と会うことは、国内世論に非常に気を遣う。平和安全法制が「戦争をする国」になるための「戦争法」なら、いくら公明党の橋渡しであっても安倍首相との会談などあり得ない。
 そして平和安全法制が施行された直後、ロシアのプーチン大統領も安倍首相と会談。伊勢志摩サミットでは、日本の安全保障政策に懸念を表明した国など1か国もなかった。むしろ、慎重な外交努力を重ねた成果として、自公政権は歴史的なオバマ大統領の広島訪問を実現させた。
 一部野党やSEALDsなどの宣伝とは裏腹に、自公連立政権になって、日本外交はむしろ画期的と言っていいほど〝平和〟の方向に歩みを刻んでいるのだ。

尖閣の緊張を作ったのは誰か

 思い出してほしい。そもそも、中国全土で反日デモが吹き荒れ、良好だった日中関係が〝国交正常化以来、最悪〟になる原因は誰が作ったのか。
 2010年9月、尖閣諸島海域で起きた漁船衝突事件で、当時の民主党政権は中国政府とコミュニケーションをとって対応することができず、これを一気に反日デモへと炎上させてしまった。
 加えて、2012年9月9日、胡錦濤国家主席がウラジオストックで野田首相に「日中関係の発展を守るという大局に立ってほしい」と念を押し、中国国内でもこれが報道されたにもかかわらず、野田内閣がその翌日に尖閣諸島国有化を宣言したことだ。
 海上保安庁のサイトにある「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処」を見れば、それまで平穏だったこの海域が、民主党政権の失政によって今日のような緊張状態に至ったことが一目瞭然だ。
 現在の民進党は、一度は国民から政権を任されながら、その政治能力のなさによって、日本の〝平和〟に致命的なダメージを与えた。そして共産党は結党このかた、そもそも日本の外交にも安全保障にも貢献した実績が何もない。
 こうした政党が自公政権を指して「戦争をしようとしている」と国民を煽りたてているのだ。

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