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空疎なパフォーマンスに終わった内閣不信任案提出――民進党の迷走(上)

ライター
松田 明

1年ぶりに5割を超えた内閣支持率

 5月31日の衆議院本会議で、民進、共産、社民、生活の野党4党が共同提出した安倍内閣への不信任案が、124対345の圧倒的多数の「反対票」で否決された。
 民進党の岡田代表は5月27日の記者会見で「出さない理由を見つけることは難しい」と述べ、30日に共産党などに共同提出を呼びかけていた。
 不信任案の趣旨説明に立った岡田代表は、

 今こそ、思いを行動に移すときだ。夏の選挙は、安倍政権と国民の良識の戦いになる。安倍政権の暴走を止め、政治の流れを変える。そうでなければ日本の将来は危うい。

と締めくくった。
 岡田代表が不信任案を口にした同じ5月27日、国民の耳目は広島に注がれていた。
 伊勢志摩サミットを終えたオバマ大統領と安倍首相は広島に移動し、戦後71年目にして、現職のアメリカ大統領が原爆資料館を訪れ、慰霊碑に花を捧げた。
 オバマ大統領は原爆ドームを背にして演説し、「わが国アメリカのように、核兵器をみずから持つ国は、恐怖の論理から脱する勇気を持ち、核兵器のない世界を追求しなければなりません」と世界に語りかけた。
 共同通信社が28日、29日に実施した世論調査では、じつに98%がオバマ大統領の広島訪問を評価し、安倍内閣の支持率は前回から7%上昇して55.3%にのぼった。内閣支持率が5割を超えたのは1年ぶりである。
 また夏の参議院選挙の投票先については、自民党が前回比7.2ポイント増の40.3%となり、民進党は0.5%減の8.7%へと下落している。

平和外交を加速させた自公政権

 一時期なりとも3人の首相を出して政権を担ったはずの旧・民主党は、相次ぐ失政で国民からの信頼を取り戻せないままに来た。
 東日本大震災では復旧・復興がことごとく後手に回り「遅い。鈍い。心がない」と批判された。
 内紛を繰り返し、党代表だった小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏を追い出して党を分裂させるという醜態で、政権交代を託した国民の期待を裏切った。
 辺野古移設問題で沖縄県民に深刻な分断を与え、日米関係を悪化させた。胡錦濤主席と野田首相が会談した直後に尖閣国有化を宣言し、日中関係を「国交正常化以来、最悪」という窮地にまで陥れた。
 2012年暮れに発足した自公政権は、この3年半の間に、震災復興を加速させ、日中首脳会談を実現させ、日韓関係も修復させた。この日中韓の外交に連立内の公明党が重大な役割を果たしたことは、以前に本欄で述べたとおりだ。
 さらに安倍内閣は、米国の反対さえ押し切る形でプーチン大統領との対話を重ね、ロシアが国際社会と協調するよう図りながら、日ロ関係も大きく前に進めようとしている。
 そして、米国内の世論の厳しさを乗り越えて、オバマ大統領の広島訪問を実現させたことは、自公政権の外交手腕の歴史的な成果であったといえる。
 それは民進党の蓮舫副代表が、自身のツイッターで、

「核なき世界を」
 オバマ大統領の広島訪問、そしてスピーチ、被爆者の方と話される姿。
 この歴史的な声明を実現された安倍内閣の外交は高く高く評価します。

と正直に称賛したとおりだろう。
 野党は現実的な対案も出さないまま「アベノミクス失敗」「戦争への道」という声高な主張を繰り返すのみだ。だが、戦争どころか、自公政権は民主党政権時代の外交の失政を修復し、歴史的と言ってよいほど諸外国との関係を順調に前に進めている。
 岡田代表は「安倍政権の暴走を止め、政治の流れを変える」と訴えたが、それは具体的にどのような政党の組み合わせによって、どのような政策理念として、新しい流れになるのか、何も示すことができない。
 民進党が頼みとする日本共産党は、5月29日のNHK日曜討論で、安倍政権への対案を示せと詰め寄られて「安倍政権打倒こそが対案」(小池書記局長)と真顔で発言し、日本中の失笑を買った。
 将来が危ういのは、日本ではなく、民進党という政党そのものであろう。

「民進党の迷走」シリーズ(全2回):
民進党の迷走(下)――めざすべき政権像を示せないまま「安倍政権打倒」を叫ぶ無責任