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公明党、次の50年への課題と展望(上)――「チーム3000」と日本の民主主義

ライター
青山樹人

最大級の地方議員を持つ公明党

 公明党は2014年11月に結党50周年を迎えた。130年を超す日本の政党政治史で、今や3番目に長い歴史を有する政党である。
「結党100年」に向けて次の50年を歩き始めた公明党が、21世紀の社会でどのような役割を担い得るのか、また担うべきなのか。今回は上下に分けて2つのことに言及してみたい。
 まず1点目は、同党の「チーム3000」が持つ民主主義の可能性である。
 1999年10月に小渕内閣との連立に合意して以来、民主党政権だった2年10カ月を除いても、自公連立政権は通算13年目に入っている。衆参で407議席という自民党の大所帯に比べれば55議席しかない公明党が、これほど長期にわたり安定して政権与党のパートナーを務められているのはなぜか。大きな理由の1つが、自民党とほぼ拮抗する約3000名の地方議会議員を擁していることなのだ。
 たとえば国会議員の勢力だけで見れば公明より大きな民主党も、じつは地方議員の数では公明党の半分にも及ばない。いわゆる第三極は言うに及ばずである。日本全体の議会政治の中で、公明党は思いのほか他の野党を大きく引き離して大きな存在感を持っているのである。
 そもそも公明党の淵源は地方議会議員から始まっており、そこから積み上げて政権与党まで到達した政党だ。くわえて、一般的に国会議員と都道府県議会議員、市区町村議会議員は力関係が上下のヒエラルキーになりがちなのに対し、公明党の強みはフラットな同心円状の役割分担になっていることにある。どのレベルの議員も自分たちは献身的な党員・支持者の支援があってこそ当選できていることを相互に認識しているからだ。
 したがって、たとえば市区町村議員が市民相談の現場などで受けた小さな声でも、都道府県マターと判断されれば即座に都道府県議会につなぐし、国政マターとなれば国会につながれる。さらに即座に閣僚に届けられる場合もある。同党の掲げるこの「チーム3000」が、他党には真似たくても真似られないフラットな機動力を持っていることは、既にメディアや識者によって多く語られてきたところだ。

県議の初質問から、国会全会一致しての法律制定へ

 先日の『朝日新聞』(15年2月15日付)「政治断簡」に、秋山訓子政治部次長が高齢者虐待防止法の成立した経緯を紹介していた。
 きっかけは、地域での福祉活動の経験が買われて55歳で公明党埼玉県議になった久保田厚子さん。認知症で暴力的になってしまう高齢者があり、介護に追い詰められた家族が虐待に及んでしまう不幸な実態が少なからずあることを、それまでの経験で知っていた。
 初当選した03年、県議会の初質問で久保田さんは他県の事例を挙げ、埼玉県の実情を県に問い質した。すると県はすでに実態調査をしており、02~03年に102件の事例があったことがわかって、地元紙に大きく報道された。
 これを知ったのが、同じ03年に初当選した公明党衆議院議員の古屋範子さん。全国的に深刻な問題のはずだと直感し、議員立法に取り組む。自民党の大臣経験者に与党のプロジェクトチーム立ち上げを直談判し、やがて他党も法案作りに動き、2年後の05年に国会の全会一致で高齢者虐待防止法が成立した。
 秋山次長はこの「政治断簡」のなかで、

この法律で高齢者虐待がなくなるわけではない。しかし政治家たちが動いたことで、これが課題なのだという社会へのメッセージになった。高齢者虐待は今、広く知られている。光をあてたのは、まだまだ経験の浅い政治家たちだった。

と記している。国政も地方も、経験年数も関係なく、フラットなチームワークで即座に動く公明党「チーム3000」の真骨頂を物語る事例ではないだろうか。

4割しかなかった学校耐震化が100%へ

 さらに「チーム3000」が有機的に連携してもたらした成果の一つに「学校耐震化率100%達成」がある。20年前の阪神淡路大震災で、震災時の避難拠点として学校の耐震化が大きくクローズアップされたにもかかわらず、当時の自社さ政権は動きを見せなかった。
 2001年、公明党女性委員会が「学校施設改善対策プロジェクト」を設置。02年に公明党文科部会が「学校施設耐震化推進小委員会」を設置。06年、公明党の北側国土交通大臣(当時)が「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」を策定。耐震化事業に必要な地方自治体の財政負担を軽減する地震防災対策特別措置法を改正した。
 これを受けて、公明党の地方議員も各議会で耐震化の推進を訴え、02年には44.5%に過ぎなかった公立小中学校の耐震化率は2015年度予算概算要求でほぼ100%に達する見込みとなった。「ほぼ」というのは、対象となる約12万棟のうち統廃合の予定があるものや震災被災地で改修困難などの1%弱が存在するためだ。
 臍帯血バンク、ドクターヘリの導入、AEDの全国設置といったものも、公明党地方議員と国会議員の連携から生まれたものとして知られている。

求められている成熟した民主主義のかたち

 そしてこのことは、日本の民主主義そのものに大きな可能性をもたらし始めている。
 1995年に地方分権推進法が生まれ、1世紀以上も続いてきた中央集権〝統治〟型の社会から、それぞれの地域で住民が主体的に社会のありようを形作っていく地方〝自治〟型の社会への転換が現在進行形で図られている。
 1人1人の住民が自ら積極的に地域社会に関心を払い、生活に根差した地域の小さなコミュニティで議論をして、その主体的な議論に市区町村議員を巻き込んでいく。政治家や行政を「上」と見て、「上」に決めてもらうといった旧態依然の感覚から抜け出し、自分たちの議論にパートナーとして加えていく。
 こうした実質的な国民の政治参加が地域のごく小さなコミュニティ単位で生まれ、継続して練り上げられ、そうした感覚が都道府県や国政にも向けられていくことこそ、今もっとも求められている民主主義の成熟だと思う。
 言うまでもなく、公明党の議員は支持者・党員であるなしを問わずに声を拾い現場に駆けつける。思想信条に関係なく、国民は誰でも公明党のネットワークを〝使う〟ことができるし使ってきた。その意味で、公明党の「チーム3000」のあり方は、じつはそのまま日本の民主主義の形成と成熟に直結する、一つの理想形になっている。
 テレビの中でのパフォーマンスには長けていても、住民の暮らす現場には影すら見えないという政党では〝お任せ民主主義〟に傾くばかりである。党勢拡大が目的化し、政治課題をその手段にしてしまうような〝反対だけが実績〟では、政党の存在意義が疑われるだろう。
 4月には統一地方選挙も控えている。いつまでも有権者を〝お客様〟と見て、利益分配のアピール合戦やイデオロギー対決の宣伝に明け暮れる古い選挙を脱し、住民自身が地域のあり方や自分たちの生き方を考え、議論し、政治を動かしていく、新しい民主主義の成熟を期待したい。

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あおやま・しげと●東京都在住。雑誌や新聞紙への寄稿を中心に、ライターとして活動中。著書に『宗教は誰のものか』(鳳書院)など。