投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

hinonagori

連載エッセー「本の楽園」 第40回 カズオ・イシグロの世界

作家
村上政彦

 10月はノーベル賞が発表になるので、この数年、日本のメディアはにぎやかになる。村上春樹が文学賞を受賞するかどうか――僕の知っている著名な批評家は、何年か続けて発表の当日、某放送局で罐詰になっていた。受賞となったらコメントするためだ(今年は誰がその役を担ったのだろう。ご苦労様である)。
 そのとき、僕の家では夕食のテーブルを囲んでいた。高校生の娘がふとスマホを見て、「お父さん、カズオ・イシグロって知ってる?」と訊く。ああ、いい作家だよ、と応えたら、ノーベル文学賞らしいよ、という。 続きを読む

syokugyoL

連載エッセー「本の楽園」 第39回 グローバリズムのなかの日本文学・村上春樹の場合

作家
村上政彦

 2017年度のノーベル文学賞は日系イギリス人作家のカズオ・イシグロに決まった。TVのニュースでは、残念がるハルキストたちの姿が映し出され、ここ数年繰り返されている光景が見られた。
 村上春樹が国際的な作家としての地歩を築いたのは、この十数年ほどのことだろうか。僕が初めて彼の作品を読んだのは、いまから30年以上も前のことだ。群像新人賞を受けた『風の歌を聴け』という小説だった。 続きを読む

shimumade

連載エッセー「本の楽園」 第38回 死ぬほど読書

作家
村上政彦

 少年のころは話題になった本を買っていたが、やがて文学を読むようになると、ベストセラーには手を出さなくなった。あえてそうしたわけではなく、読みたい本は、だいたい売れない部類に属するようになっていたのだ。
 作家としてデビューしてすぐのころ、ゴダールの本を読んでいたら、できるだけハリウッドのエンターテイメントな映画を観るようにしている、とあった。理由は、そういうヒット作を観る人々を知るためだという。つまり、一種のフィールドワークである。 続きを読む

kafuka

連載エッセー「本の楽園」 第37回 カフカの生涯

作家
村上政彦

 ふらっと本屋や古本屋をパトロールするときと違って、図書館へ行くときは、だいたい仕事の資料を調べたり借り出したりと、目的が決まっている。それでもときには、「おっ、こんな本があったか」と目当てのものではない本を手に取ることがある。
 このあいだ図書館へ行ったとき、ふと、『カフカの生涯』という表題が眼についた。カフカは若い頃から読み親しんだ作家で、近年、マックス・ブロートの手が入っていない全集が出たのを買った。 続きを読む

dojo200

注目される沖縄伝統空手(下)――世界から沖縄に集まる空手愛好家たち

ジャーナリスト
柳原滋雄

沖縄に来る空手家が一度は訪れるバー

 那覇市最大の繁華街「国際通り」を出てすぐの場所に、地元でも名の知られた酒場がある。その名は「DOJO Bar」(道場バー)。いまでは世界から沖縄を訪れる空手愛好家が必ず一度は訪れるとされる場所だ。 続きを読む